こんにちは!節税会計士のタッキーです!
本日は「節税するなら法人、個人事業主どっちがいい?」というテーマで節税会計士タッキーが専門家としての視点でお話します。
事業を始める時に節税を考えたら法人と個人のどっちがいいんだろう?
それぞれどんなメリットとデメリットがあるんだろう?
そんなことを考えている事業主の方も多いと思います。
今回の記事を読むと、
「節税をするなら法人と個人のどっちが良いか?」
が分かります。
最初に結論ですが、
純粋に節税を考えた時は法人の方が良いです。
これからお話しますが、
個人事業主の節税はある意味運任せで、
節税策もあるものの、どれも法人には見劣りします。
一方法人は経費の範囲も広く、
節税に使える制度の使い勝手も、数も
個人事業主とは比べ物になりません。
ただ法人は個人事業主と比べてコストがかかります。
よってコストを上回るくらい稼いでいたり
リターンが得られるなら法人、
そうでなければ個人というのが結論です。
メリットデメリットを聞いて、
ご自身の考えや状況に合う方をご選択下さい。
まず個人事業主のメリットからお話する前に、
節税の答え合わせは税務調査で初めて分かる。
という事実をお伝えします。
事業をしていると周囲から
「こんな節税策あるよ」
「こんな費用も経費にしているよ!」
など聞くことがありますが、
その節税策が大丈夫か、
その経費が認められるか、
それが分かるのは税務調査が来た時だけです。
追徴課税がいままでなかったとしても、
単に税務調査が来ていないだけの可能性も高いです。
ここで個人の確定申告の税務調査が来る確率は約1%のため、
税務調査を受けたことのある個人事業主の方が少ないです。
特に悪いことをしていなくても
「税務調査」と聞いただけで緊張してしまう方や
緊張をしなくても税務調査に時間を取られるのは嫌ですよね。
このような点から税務調査の確率が低い
というのが個人事業主の一番のメリットです。
ではどのような個人事業主だと調査の確率があがるのか?
についてはこちらの動画で紹介しています。
気になる方はこちらの動画をご覧下さい。
一方個人事業主のデメリットについてお話します。
まず、プライベート費用について考えてみましょう。
ビジネスを行って使う支出には、
プライベートの部分と、ビジネスの部分が
混ざっている支出もあると思います。
例えば交際費です。
友人と飲みにいって、
そこでアイディアを得ることもあると思います。
友人が普段ネットで何をしているか聞いて、
インターネット集客の方法を思いつくかもしれません。
友人の自宅や勤務地の周辺の状況を聞いて、
不動産投資の参考になる情報が聞けるかもしれません。
これらは確かにビジネスに役立っている部分もありますが、
では飲み代のうち、
・何割がビジネスに役立っているか?
・何割がプライベートの部分か
を説明するのはかなり難しいですよね。
これらを
・論理的に説明することが出来ない、
・データ等で示せない、
となると税務調査での交渉も難しく、
失敗すると全額否認されることもあります。
さらに個人の所得税は累進課税となっていて、
所得が増えれば増えるほど税率は上昇します。
現在では所得税と住民税をあわせると、
最高税率はなんと55%にもなり、
これに個人事業税(3〜5%)を加えると、
約6割が税金で消えることになります。
そして個人事業主の方は
プライベートの支出も経費に計上していることが多いため、
実際に税務調査があった場合には、
かなりの部分の経費が否認される、
といったケースが多発しています。
次に法人のメリットについてお話します。
節税とは違いますが大きなメリットである
社会的な信用というお話をします。
まず取引先の信用があります。
実際に「個人事業主とは取引していないので、
法人化して下さい。」
という会社もあるくらいです。
他にも求人を行った時に
応募がきやすく採用活動がしやすかったり、
融資も受けやすかったりします。
また、株式会社を作ったり、
その代表である代表取締役となることで、
モチベーションがあがる、という方や、
気持ちが引き締まって、
より事業に対して真剣になれた、
という方もいます。
そのような気持ちになれる方は、
節税対策以外の観点から法人化するのも、
個人的にはありかと思っています。
次の項目からは節税の観点からの
法人のメリットについてお話します。
まず法人は個人事業主と比較した場合
経費の範囲がかなり広くなります。
個人事業主の場合は家事按分といって、
事業で支出した経費であったとしても、
それがプライベート支出ではないのか?
プライベートの支出であるのならば、
支出の何割くらいを経費にできるのか?
という話が常についてまわります。
一方法人を設立すると法人格といって、
大雑把にいってしまうと、法律上は法人に
人と同じ権利が与えられます。
そして会社はビジネスを目的としている法人なので、
その支出はビジネス目的かそれ以外かなので、
支出の何割がプライベートなのか、
といった話は基本的にはありません。
さきほど個人事業主のところでもお話しましたが、
友人との飲み会についてお話します。
友人との飲み会だったとしても、
ビジネスに関する情報が得られたり、
また、友人が自分のビジネスに関する何かに詳しくて、
情報収集のために飲み会をセッティングすることもあると思います。
しかし、個人事業主の場合は
たとえ情報収集が目的だったとしても、
プライベート部分はゼロなの?
という部分は常にチェックされます。
一方、法人の場合
情報収集のための飲み会など
仕事に関連するものであれば、
家事按分という考え方はなく、
100%が経費になります。
また法人は経費の範囲が広がるだけでなく、
個人事業主に認められている節税方法も、
法人の方がより使いやすかったり、
節税できる金額も大きかったりします。
さらに、
法人には個人事業主には認められていない
節税に使える制度もあります。
次からはそのような法人の節税に使える制度
についてお話していきます。
まず、旅費規程についてお話します。
旅費規程は以下の動画で第1位としたように、
法人の方にはとてもおすすめの節税策になります。
興味のある方はご覧下さい。
出張旅費規程はその名前のとおり
出張が多い場合には特におすすめの方法です。
但し、個人事業主の方は使えず、法人限定の制度です。
出張の際には日当を支給することができ、
また交通費や宿泊費についても、
規程をさだめて
実費ではなく定額支給することが出来ます。
日当や定額で支払った交通費や宿泊費を、
会社の経費にすることが出来るので、
これにより会社では法人税や消費税の節税につながったり、
工夫次第では社会保険料の負担減少につながったりします。
また日当をもらう社長や従業員側でも、
所得税や社会保険料の負担なしで日当や定額支給を受けることが出来ます。
給料ではなく非課税で支給額が満額手取りでもらえるので、
これはかなり嬉しいですよね。
次に役員退職金という制度があります。
こちらも法人のみに認められた制度で、
個人事業主は自分に退職金を支払って経費にすることは出来ません。
退職金は税金計算上、非常に優遇されています。
退職金にかかる所得は次の式で計算されます。
退職金から、退職所得控除というものをマイナスして、
その金額に2分の1をかけます。
退職所得控除は会社で勤務している期間が長くなると、
所得から控除できる金額も大きくなります。
そして退職所得控除をマイナスした金額を、
さらに半分にしてから税率をかけることになります。
ただしこの金額をあまりにも高額にしてしまうと、
税務調査で否認される可能性があります。
退職金規定を整備して、
退職金の金額の設定は高額になりすぎないように、
注意しましょう。
次に法人には非常勤役員という制度を使えます。
これは家族に給料を払って節税した場合に
非常に使い勝手がよい制度です。
非常勤役員は個人事業主にはない制度ですが、
個人事業主にも家族に給料を支払って
節税する方法があります。
個人事業主が家族に給料を支払う場合には、
専従者給与という制度があります。
専従者とは何かというと、
簡単にいうと、
その仕事のみに従事しているということです。
つまり仕事を手伝ってもらっていたとしても、
昼間はどこかの正社員で、
空いた時間に手伝ってもらっていたりなど、
他の会社などから給料を受け取っている場合は使えません。
また他の場所から給料をもらっていなくても、
例えば大学生の子供が夏休みだけ仕事を手伝う。
といったような場合は支払いが認められません。
一方法人の非常勤役員はその名前の通り、
非常勤でもOKです。
つまり毎日事務所に来て作業をする、
などといったことは必要ありません。
よその会社の正社員であったり、
何か他のパートの仕事をしていたりしても、
役員として経営に携わっていれば問題ありません。
次に役員報酬についてお話します。
役員報酬は個人事業主の事業収入とは異なり、
所得税の計算上、給与所得に分類されます。
つまり税金の計算上、
役員報酬はサラリーマンの給料と
同じ方法で計算されます。
ここでサラリーマンの給料には、
給与所得控除というものがあります。
給与所得控除は計算式があらかじめ定められており、
収入が増えるほど控除される金額は増えていきます。
具体的には給料等の収入金額が
850万円を超えた時に最大になり、
195万円が収入から控除されます。
脱サラして個人事業主になった方は、
この給与所得控除はなくなってしまいますが、
法人化して役員報酬の支払いにすることで、
給与所得控除全額を使うことが可能になります。
次に役員報酬の最適化についてお話します。
このお話も個人事業主は使うことが出来ず、
法人のみが対象となる話です。
法人にかかる税率と個人にかかる税率は、
同じではありません。
個人の収入には所得税がかかり、
累進課税といって収入が増えれば増えるほど、
所得税率はあがっていきます。
最高税率は45%で住民税をあわせると55%。
なんと稼いだ金額の半分以上を税金でもっていかれてしまいます。
一方中小企業は所得が800万円までは、
軽減税率の効果もあり、法人税の金額は約25%。
800万円を超えた部分の実効税率については、
約30〜35%程度の税率となっています。
ここで役員報酬は法人の経費になるので、
個人の税率と法人の税率を
同じくらいになるように調整すると、
個人と法人をあわせた時の、
税金の負担を軽減することができます。
次に役員社宅制度についてお話します。
役員社宅制度は法人のみに認められていて、
個人事業主には認められていない制度です。
この制度を利用する場合には、
住宅規程などの規程を整備することが必要です。
規程を整備することで社長が
自ら支払うのではなく、
会社が家賃を支払うことになります。
会社が家賃を支払うことで家賃分を経費に計上することができます。
また家賃を会社が負担してくれるので、
その分の役員報酬を減らせば、
所得税や社会保険料の負担をへらすことが出来ます。
一点注意点があって、
会社は役員から賃料を徴収する必要があることです。
ただこの賃料を差し引いても
法人が9割前後を負担できることが多いので、
かなりの節税につながります。
次に法人設立時の消費税の話があります。
消費税には免税期間があり
基本的には売上が1000万円を超えた年の、
翌々年から消費税がかかります。
つまり個人と法人の両方を合わせると、
最大で4年間は免税期間をとることが出来ます。
少しだけ注意点があって、
設立時の資本金を1000万円を超える多額に設定したり、
多額の役員報酬を設定した場合は消費税の免税期間を
フルで活用できない可能性があります。
詳細は以下のリンクをご確認下さい。
【国税庁HP】No.6501 納税義務の免除
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6501.htm
22、ここまで法人のメリットをお伝えしてきましたが、
法人にもデメリットは存在します。
個人事業主が開業する際は
税務署に開業届を出すだけで、これに費用はかかりません。
一方会社の法人の設立は無料では行えません。
合同会社を設立するか株式会社を設立するかで
金額は異なりますが、
合同会社の場合は約6万円〜
株式会社の場合は約20万円〜
が設立にかかります。
また法人を設立した場合は赤字でも税金がかかります。
個人事業主の場合は赤字の時は税金はかかりません。
一方法人は例え利益が出ていなかったとしても、
法人住民税の均等割というものがあり、
最低でも7万円程度の納税額が発生します。
また法人を設立し、役員報酬の支払いをする場合は、
社会保険事務所に届け出を行い、社会保険料の納付が生じます。
単純に役員報酬の支払い額を増額してしまうと
この社会保険料がかなり負担となる可能性があります。
ただ社会保険料の負担は給料の支払い方などによって、
かなり削減することも出来ます。
詳細はメルマガで
お話していきたいと思っています。
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最後に法人を設立した場合
税理士費用などの各種コストが増加します。
個人の確定申告は税理士でなくても出来ます。
しかし、法人の確定申告は
個人の確定申告と比べると難易度が格段にあがります。
通常は自分で確定申告をするのは難しいので、
税理士に依頼することになるため税理士費用もあがります。
また申告の難易度や作業量があがることから、
個人よりも法人の方が税理士費用もあがることが多いです。
これらの費用やデメリットと節税効果を比較して、
節税効果が上回る場合は法人を選択し、
あまり効果がなさそうであれば個人事業主のまま
というのがおすすめです。
それでは本日のまとめです。
個人事業主のメリットは税務調査の確率が低いことです。
税務調査の確率が低ければ、
ミスも見つからずにそのままスルーされてしまうこともあります。
またそもそも税務調査自体に時間が取られるので、
できれば自分の本業に集中したいですよね。
一方個人事業主のデメリットは
税務調査が来る確率自体は低いですが、
もし税務調査がきた場合は、
経費が否定される可能性が高いです。
もともと個人事業主は
経費として認められている範囲はかなり狭いです。
よく
プライベート費用も経費に出来る!
個人事業主は交際費が無限だから法人よりも個人がお得!
なんて言っている人がいますが
本来個人事業主に認められている経費は非常に限定的です。
これらはたまたま税務調査が来ていないから
見つかっていないだけです。
そのため個人事業主に調査が入ると、
かなり手痛い目にあうことも多いです。
次に法人のメリットはまず経費の範囲が広いことです。
法人は法人格といって法律上人と同じように扱われます。
社長1人しかいない会社でも、社長と会社は別物です。
そのため個人事業主の家事按分のような考え方はなく、
基本的に事業に関連する出費は、全て経費になります。
次に法人は個人と比べて
節税で使える制度が多いです。
特に旅費規程や社宅制度などは節税効果も高いので、
法人化したらまずこれらの制度から実行するのがおすすめです。
ただし法人にもデメリットがあり、
設立費用や住民税の均等割、税理士費用など
個人事業主と比べるとコストが増加します。
これらのコスト増加と節税効果を勘案して、
個人事業主と法人を選んで下さい。
今回の記事ではあまり詳しく解説出来ませんでしたが、
具体的な節税策については他の動画で解説しています。
法人の方が節税も強力で使える制度も多いですが、
個人事業主が使える節税策でおすすめのものを紹介しています。
また法人の節税策についても、決算期の変更など、
あまり言われていないことについても、
こちらの動画で紹介しています。
今回の記事は以上になります。
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最後まで見て頂き、ありがとうございました!
公認会計士・税理士
節税会計士タッキー
大学在学中に公認会計士2次試験に合格。 BIG4と呼ばれる日本で最大手の監査法人に3年間勤務。 独立後はプログラミングを独学で勉強し、 ヤフー・アマゾン・楽天の商品の価格を比較する、 価格比較サイトを約10年にわたり運営。 現在では 「会計士・税理士としての会計税務の知識」と 「価格比較サイトを立ち上げ、 個人事業主と法人の両方で事業を行った経験」 をもとに、 父の会計事務所でも働きながら、 主に以下の事業を行っている。 ・税務コンサルティング ・社会保険料コンサルティング ・ウェブ集客コンサルティング 趣味は、ピアノ、筋トレ、プログラミング、短眠。 6歳年上の妻、小学生の娘、息子がいる。
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